ランサムウェア被害

ビットコイン売買は犯罪を助長する

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「スイスの銀行へ振り込め。」映画で犯罪者が不正に資金を得ようとする際に使われるお決まりのセリフだ。しかし実際にはスイスにある銀行も世界各国と取引内容を開示するルールに則っているため、犯罪者が不正に得た資金を引き出すことはできない。不正に得た資金は、いまビットコインに向かっている。その秘匿性が犯罪者に人気なのだ。

日本円や米国ドルなどの各国中央銀行が発行した法定通貨は、幅広く利用できるものの、銀行に預けたり送金する際に本人確認がなされるため、犯罪者が利用するには都合が悪い。現金を引き出す際に監視カメラに写ることもある。また多額の現金を手元に保管しておくことは、不正を働いたもの自身、別の不正を働く者に奪われるリスクを抱えることになる。秘匿性があり、多額の資金を保管しておく方法。それが昔はスイスの銀行だったかもしれないが、いまでは仮想通貨なのだ。

仮想通貨は、法定通貨と異なり中央銀行のような管理者が不在だ。このため、取引に誰の監視を受けることもない。仮想通貨は何の裏付けもない子供銀行券よりも価値のないものであるが、法定通貨を用いて取引をする人がいることで、仮想通貨は法定通貨に準じたものとして犯罪者が活用することできる。一般市民が仮想通貨を取引することで、犯罪者にとって「秘匿性があり資金を保持・移動することができる」プラットフォームを間接的に提供していることになる。

犯罪者が身代金など不正に得た資金を銀行に振り込ませれば、引き出したり、振込をすることで犯罪者が特定されてしまう。現金であれば、受取の際に逮捕されるリスクもある。仮想通貨は国際的な資金洗浄にさえ利用可能で利便性がとても高いものになっているのが現状だ。

ランサムウェアという身代金型ウイルスは、必ず「ビットコインを送金しろ」と要求してくる。犯人の特定が困難であるから、仮想通貨を利用し、世界中に年間数千億円もの被害を企業にもたらしている。仮想通貨が誕生する前からランサムウェアは確かに存在していたが、その被害件数も少なかった。

もちろん、ランサムウェアにひっかかってしまうようなホワイトリスト方式でないエンドポイント保護製品を利用していた企業の側にも責任はある。しかし攻められるのは犯罪者であり、その共犯者ともいえる仮想通貨取引をしている一般の市民なのだ。意図しているわけではないので犯罪幇助とまでは言えないが、仮想通貨取引をすることで犯罪者の手助けになっていることを決して忘れないで欲しい。

国際的資金洗浄に、仮想通貨が利用されていることに、主要先進国の金融部門担当大臣は懸念を示しており、まずは主要先進国から中期・長期的に取引は禁止にしていく方向のようだ。先般、英金融行動監督機構(FCA)が「消費者がこの種の金融商品に投資を行う場合には、全てを失う覚悟をしておくべきだ」と述べている。これは、自国内取引が禁止されることを見据えての発言である可能性が濃厚だ。

なぜビットコインが高値になっているかという要因のひとつに国際社会による犯罪国家への国際銀行間通信協会(SWIFT)からの切り離しがある。北朝鮮などは国際的な銀行間送金ネットワークから切り離されたため、貿易のための資金移動ができなくなっている。こうした国家では、国際決済のためにビットコインが利用されているのは広く知られていることだろう。

仮想通貨取引は、私たちに核ミサイルを打ち込もうとしている国家の一役を担っていることを日本国民は忘れてはいけない。自分が死なないために。国防と犯罪抑止の観点から、仮想通貨取引が違法となる日はそう遠い日ではないはずだ。

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