第七艦隊の連続事故はハッキングによるものか

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日本を母港とする米国海軍所属の第七艦隊は、緊張する中国・北朝鮮・ロシアへの抑止力として同盟国を守っているが、その艦船が敵国によってハッキングされていたら。このような考えるだけで恐怖な仮説がひょっとすると現実のものとなっているかもしれない。

大型船はレーダーを備え、船舶によっては接近距離により国際法に則り自動的に回避操舵をするものや推進力を弱めて船舶同士の衝突を回避する。他にもレーダー範囲外であっても大型船舶には、AIS(自動船舶識別装置)が義務付けられており、民間船は必ず有効にして航行している。 AISマップ船舶レーダーは、数十キロ先の近隣船舶を把握することができ、衝突コースにある場合は推進力や舵を変えて、衝突予測の30分以上前から調整を行う。満載したタンカーやコンテナ船など喫水が深い船舶ほど舵が効かないため事前に舵や推進力を調整して航行するのだ。
2017年6月と8月に相次いで第七艦隊所属のイージス艦だけが接触事故を起こしている。世界中には多くのイージス艦がミッション中であるのにもかかわらずだ。イージス艦を含む軍艦は、戦闘時に回避行動をとることが可能となるよう、舵は迅速に切れるよう設計されているのにも関わらずだ。

またこれに先立ち2017年2月には、第七艦隊のミサイル巡洋艦USSアンティエタムが横須賀へ帰港する際にプロペラ故障を起こし最大1,100ガロンの作動油が排出されたことで、環境問題が引き起こされた。艦船のシステムがハックされ位置情報が書き換えられたことによる問題や、航行システムが乗っ取られた事も推測される。

注目すべきはこれら3隻の米国海軍の艦船いずれも横須賀の同じ基地に所属していることだ。

米国内では、これらの連続した事故に対して、ハッキングの可能性が取り沙汰されてきている。AISのなりすましや船舶自身へのハッキング行為だ。民間船舶の多くはインマルサットを利用したインターネットに接続されており、運航会社との業務連絡に活用している。2000年前後からの船舶には非常時のための10センチ程の舵しか装備されておらず、航行の多くはコンピュータによって制御されており、船舶内のすべてをネットワークで結ばれている。そのネットワーク上にはLinuxやWindowsのパソコンすら接続されいることだろう。ファイアーウォール装置もいくつかセグメント化されたネットワークに接続されているらしいが、短時間しか帰港しない船舶のファームウェアが適切に更新され公開情報となっている脆弱性に対処されているかは疑わしい。

通常、大型船舶は回避行動をかなり事前に行っているため、どちらか片方のシステムが故障したり回避行動をとらなくても何れかが回避行動をとれば衝突はしない。走行中の自動車事故の場合、どちらも責任を問われるのと同様で、どちらかに原因があっても事故は発生しないのだ。両方の船舶の航行システムがハッキングされた結果によって衝突事故が起きたと考えるのが自然だろう。

AISがなりすまされていても近隣にいる際にレーダーで事前に確認できる上、接近すれば視認も可能だ。喫水が深い潜水艦を除いて、軍艦であれば視認できた段階で回避行動が行える。

ではなぜ、衝突事故が発生したのか。想定しうるのは、衝突した両方の船舶の航行システムがハッキングにより、30分以上利用不能となっていた可能性である。2017年2月にミサイル巡洋艦が航行不能となっていたことは推進系がハッキングされたことで航行が不能となったことも推測される。このハッキングの成功により、後に続く2隻を衝突させることができたと考えると合点がいく。

米国海軍からは、軍艦がハッキングされたかの憶測に関しては否定も肯定も現時点ではなされていない。メンツにかけてハッキングされたとは公表しない可能性があるだろう。しかし、多くのセキュリティ関係者の間では、この連続した3隻の米国海軍の艦船、しかも同じ横須賀を母港とする第七艦隊所属の船舶のみで発生しているという事実から、なんらかのサイバー攻撃の可能性が高いとの記事やレポートが上がってきている。

敵国はどこであろうか。中国、北朝鮮、ロシア、もしくはそれらの国が連携して行っているのだろうか。海軍は対策がなされセキュリティが今後強化される可能性がある。しかし民間の船舶の対処は後手にまわることだろう。民間の船舶がハッキングされ、民間船同士の衝突事故を意図的に起こし、原油や物資の輸送を混乱させることができたら、これも敵国に対する効率の良い攻撃手法となるはずだ。

サイバー戦争は、新たな兵器によってもたらされる爆弾などによらない、実際に引き起こされる破壊工作なのだ。

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